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あの日の真実を・・・

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『どうしても会いたい人とか、死ぬまでに会いたい人というか、そんな人います?』


本当にそれを知りたかったのか、実際はわからないけど、唐突に聞かれた。少し酔っていたからかもしれないけども。


「居たな」


と、言葉少なめに返すと、『過去形ですか?』とマッハでツッコミが来た。案外酔ってないのか、それとも酔いのせいなのか、後輩は先を聞きたがっていた。めんどくせーな。


どうしても会って聞きたいことがあった。そんな相手がいた。その思いすら忘れかけていた時だった。


友人Rからの電話で、全てを思い出すことになる。


「ダイキ(仮名)覚えてるか?」


返信が遅いことから、僕の海馬が悲鳴を上げているのを察したのか、すぐさまRがこう補足を入れた。


「鉄男だよテツオ!」


はっとした。海馬があの全てを僕に届けだした。いや、垂れ流してきた、あふれんばかりに。


「わかったすぐ行く」


今一緒に飲んでるから来るかのRからの誘いに、食い気味に返答し、僕は急いで家を出た。どうしても聞かなきゃいけないことがあるんだ。僕は必然的に走っていた。


『てか、なんでテツオなんですか?』


寝ているようでしっかり聞いている後輩。皿の上に残った豚キムチをきれいに箸で集めながら聞いてきた。


鉄男:テツオ
小、中と同じ学校。小学時代、ドッジボールで顔面にボールが当たったにも関わらず、全く無表情だったことから鉄の男こと鉄男(テツオ)と命名。実際は僕とRとの間での隠語のような呼び名だった。


『へぇ~それで鉄男ッスか~』


相槌も打たず、僕は話を進めた。


当時、確か小学4年生だったと思う。担任が昔の遊びと題し、色々なものをやらせだした。竹とんぼ、ゴム鉄砲、そして何故か男子がハマったコマだった。


毎日のようにコマに挑戦する男子。子供の適応力はずば抜けていて、2日目から普通に回せれる人数が増えていった。もちろん僕も。Rもだ。そんな中での出来事だった。


「痛っ!」


「ダイキ謝りな!」


「先生に言うからねっ!」


「い~けないんだっ!いけないんだ!ダ~イキが泣~かした!」


その日を境に、教室でのコマ遊びは禁止となった。鉄男(ダイキ)がコマを回そうと失敗し、そのコマが女子の1人にぶつかった。それが原因だった。


『じゃあ~当然男子キレたんですよね?つか、テツオで統一して下さいよ。誰が誰だかなんで…』


「おぅテツオな。つかな、コレで終わりじゃなかったわけよ」


そう、これが全ての始まりだった。


コマができないフラストレーションから、何かとテツオにあたっていた男子。今思えばいじめと変わらないモノだった。当然、言われるテツオもフラストレーションは溜まっていたわけだ。全てがなる様にしてなったと言える事だったのかもしれない。


忘れもしない音楽の時間。ここは曖昧なのだが、確か楽器か歌か、どちらかのテストだったと思う。未だに原因は不明なのだが、僕とテツオが口論となる。お互いに過度の欲求不満状態だったせいか、口論からケンカへはあっという間だった。

 

「いってぇー!」


僕は人生初のグーパンをくらった。ジンジンする左頬。急速沸騰のように怒りがこみ上げ、僕も右フックを繰り出す。が、テツオは見事しゃがんでかわす。空を切る僕の右拳。あの時正直、肩が外れるかと思うくらいの抜け感だった。


かわされたことで、恥ずかしさも加わり怒りが爆発した僕。応戦するテツオ。取っ組み合いが続いていた時だった。


互いに、聞き手の右手がフリーになった一瞬、殴りかかろうと考えるのは必然。すぐさま拳を突き出そうとした


その時・・・

 

 

「ちょっストッーぷひゃぁ!」
(えぇええええ~!!)


止めに入ったRの右頬にテツオの右ストレートがねじ込まれた。ちなみに僕の右拳は相変わらず空を切っていた。


不意をくらったRは、ぶっ飛んだと言って良いほどの勢いで僕の視界から消えた。その消えた方角から、今度は何かの物体が飛んできた。

 

ガシャァーーーン!!


演奏用?のパイプの丸椅子がテツオの後ろの楽器入れの棚のガラスを粉々にした。Rが怒りでしたということは理解できていたし、ある意味想定内だった。Rの性格を知っていればだが。くっそーとぼやいていた事からも、テツオを狙って投げたことが明らかだった。

 

「テツオテメェー決闘だ!!」

 

「こらソコ何してんだ!!」


Rの叫びと共に担任の叫び声が響いた。この後、大人のマジ説教をくらった。近距離の大人の大声を小一時間聞いた。何を言われたかなんて覚えていない。というよりも、聞いていなかった。僕の中では、テツオと決闘するというこれから起こり得る事実で頭が一杯だったからだ。


その日の内に R&S VS テツオ の決闘の噂は、クラスを越え他のクラス、そして上級生までに広まっていった。当然、担任から呼び出しをくらうまで3日と経たなかった。


「おい、お前等決闘とかまさかだと思うがどうなんだ?」


噂の当事者である、僕とR、そしてテツオは職員室の担任の前に立たされていた。


「そんなわけないですよ。な?S?」


「するわけないですよ。噂ですよ」


「そうか、じゃ一応握手して、仲直りだ、な?いいな?」


Rから順にテツオと握手する。大人ってバカだと本気で思った。失礼しましたと頭を下げ職員室を出てすぐ、Rはテツオに向け小声で告げた。

 

「土曜日13時。逃げんなよ。行くからよ」


ゆっくり頷くテツオを確認し、僕とRは教室に戻った。


『悪いッスね~。つか本当にしたんですか決闘?』


「ああ、この後な・・・」


と言いかけた時だった。おもむろにチェイサーをがぶ飲みしだした後輩。ほぼほぼ一気飲みのように飲み干しコップをテーブルに勢いよく置き、僕にこう言い放った。

 

 

 

『いや、もういいっすわ。そういう武勇伝みたいの好きじゃないんで』
(うそーーーーん!!)


この後の、決闘の話も、そもそもの会いたい人のことも、もちろん、その理由すらも聞くことなく終わりとなった僕の思い出ポロポロ話。


おかしな表現をするが、完全と不完全燃焼と化した僕の怒り。この行き場の無い怒りを今この記事に埋め込むように打ち込んでいる。きっとあの日のRよりも邪悪なものかもしれない。


その証拠に、この記事はここで終わる。


そう、僕と同等のフラストレーションを与えるべくして。


でも、そんな知りたくないでしょ?この話の先。


ですね。

結局続編です

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