昔、と表記していい前、僕は所謂『鬱』になった。
原因は仕事ではない。ただ、要因の1つではあったのは確かだった。
体調を崩した。会社を休み病院に行く。当たり前の事を当たり前にした。はずだった。
しかし、体調は変わらない。何なら悪化しているのではと感じている自分がそこに居た。
そうなるともう手遅れだった。何とかして会社に行かなければ、早く治さなければ、そんな思いから医者に対してもっと強い薬をと要求していった。
そうして、僕は鬱に落ちた。
会社に行こうとする朝が一番体調が悪くなる。会社を休むと伝えた後、不思議と体調は回復していく。
ただし、根本的に体調を崩していた原因は治療が必要なもので、定期的に病院に行くのだが、どうやらその通っていた町医者と合わなかったことも、要因の1つだったようだ。それに気づくまで半月を費やしていた。
情けないと自分で引け目を感じていた為、当時の彼女にすら会社を休んでいることは言えなかった。
その間、わずかではあるが僕を少しだけ元気づけていたのがネットの世界だった。今思えばだが。
中毒性のあるネットの世界。良くも悪くも影響を及ぼしていた。
当時、僕はとあるHPの管理人をしていた。そこそこの人気で、そこそこの楽しさがあった。
会社を休んでいる為、必然的に更新頻度は上がっていった。日記という名の雑記をネットに垂れ流していた。まぁ~今もだが・・・。
多くの反響に元気をもらっていた。その時の雑記の内容ははっきり覚えてはいないが、“こうあるべきだ”的な偉そうなモノだったと記憶している。恐らく今読んだらお前が言うなと総ツッコミできるような内容だったはずだ。
ソコに僕は理想を描いていたのかもしれない。不甲斐ない自分からの逃避だったのかもしれない。
そうこうしている間に1ヵ月が経過した。会社にも休む連絡はしなくなっていた。クビでも良い。そんな思いが僕を支配していた。
ただ、唯一連絡をくれる上司がいた。
大丈夫か?調子どうだ?いつでもいいからな。
それすら当時はうざいと感じていた。今思えば、当時の自分に説教してやりたい気分だ。こんな人居ないんだぞと。ぶん殴ってでも伝えなきゃと思うくらいだ。
僕が戻れたのは、紛れもなくその上司のおかげだったからだ。感謝しきれない。尊敬する方だ。
僕自身も変化はあった。会社のない暇の日々をどうやって過ごそうか。そう考えられるようになっていた。
レンタルして映画を観たり、酒飲んだり、言い方は悪いが変な“余裕”が出来ていた。
心療内科に行こう。余裕のお陰かそう考えれるような自分になった。きっとそれは、鬱なんだと認めた時だったのかもしれない。
車を運転し病院へ。
「すいません。僕鬱みたいなんで・・・」
受付の看護師らしき人に伝えると、すぐさま笑顔で回答がきた。
「心療内科ですね。予約制です。」
はっ?予約?いやいや正気ですか?心の病で苦しんで、会社も行けず、やる気もでないところを必死の思いで何とかしたいと来たわけですよ。それを予約ですと?待てと?来週のドラマでも録っておこうみたいな予約ぐらいな扱いですか?それとも、じゃ~あ~水曜でイイっスか?その日以外バイトなんすよみたいな、ギャルが背伸びしてネイルの予約入れるみたいな感じですか?僕は病気なんですよ?予約とか先伸ばして余裕な病気なのかよ!ふざけんなよ!左の鼻毛引くほど出てるぞ!良く笑顔で居られるな!マジハズイなお前バーーカ!!とか言ってみてぇーーーー‼
(言っちゃダメです)
とにかく、丁寧に断って家に戻った。何だかアホらしくなって笑ってしまった。鼻毛も思い出して笑ってしまった(止めなさい
というわけで何か知らんけど回復した僕。
病は気からとは良く言ったものだなと感じている。
「だからよ、まずは気を楽にしてやるのも上司の仕事じゃねーのか」
『いやまぁ~そうですけど・・・』
後輩の部下が休みがちだと、連絡も取れなくなってきたという相談から、実体験を交えつつアドバイスと言えるかアレだが、話をしていた。
僕の時とは違うだろうが、その時の僕の上司には今も感謝している。残念なことに、退職してしまっているのだが。
そんな存在になれるようにと、そんなイメージでアドバイスをしていたわけなのだが、後輩は悩み過ぎているのか、いまいちピンときていないようだ。
「おいおい、悩み過ぎてお前が鬱になるなよ」
軽い冗談のつもりだった。
のだが・・・
『そんなダッセーことしないっスよ』
(ディスられたーーーー‼)
お前は絶対ならねーな。僕はそう心で叫んでいた。
【3日休んだら鬱の始まり】という言葉がある。
1日はズルでもなんでも休みたいことはある。2日目は病気の完治の為や少し行きづらさもあり休みたいこともある。
でも、3日目は、さすがにヤバいだろうで行くのが通常らしい。高熱や感染する為出れないなどの病気じゃない限り。
あなたの周りでそんな人が居たら、3日連続で休んでいる人が居たら、気にしてあげて欲しい。
早期発見が何よりの回復への近道ですので。
その人がダッセーこととか言われないように。
ですね。