ですね。note

思った事を書くノート。そんなブログ。

憧れた未来

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「それでお前はどうしたいんだ?」

 

 

ある日のある人達の話。ある人達の思い出の話。

 

 

2月14日、学生であればあるほど、心がざわついてしまう日。特に受け身である男子は尚更なはず。


それを象徴してか、いつも大人しめの男子がばっちり髪型をセットしてきた。なんてことのないこの出来事がこの後あんな大事件を巻き起こすことになるとは、知る由もなかった。


休憩時間。売店で大好物のおにぎりを買って来たLとKが教室に戻ってきたと同時に大きな悲鳴があがった。

 

キャァーーー


ざわつく先に1人の男子が立っていた。髪型をばっちりセットしているMがカッターを前に突き出しながら立っていた。

 

「オイ、お前何やってんだよ?」


冷静なトーンの中に威嚇を感じるKの声にMは震えながらただ見つめ返していた。


「おい!それで誰刺す気なんだ?」


Lは刺激しないように問いかけた。いや、それは既に抑止の意味を含んでいた。


凄まじい汗をふきだしながらMは突如と叫んだ。叫んだんだ。

 

「じ・・・自分です!どうせ嫌われてるなら!!」

 

「アホかっ!」


一瞬だった。Kは呆れるようにその言葉を吐き捨てカッターを持つMの手を蹴り上げた。ぶっ飛ぶカッター。


手を抑えながら泣き崩れるMをただただ眺めていた。

 

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タバコは20歳から…


「おい、お前なんで敬語なんだよ」


「まったくだよ、軍隊かよ」


ハハハハハハハハハハ


タバコの煙の漂う店内で声が響いた。その中でMはうつむいたままだった。


「いいから食えよ。冷めちまうぞ」


「そうだよ食えって。つか、泣くなや」


ゴロゴロした焼き鳥が海苔のひいた白米の上で湯気をあげていた。特製焼き鳥弁当。この店の人気メニューだ。店長はいかにもな風貌で、自己責任ならとタバコを許可していた。いや、許可とかそんな権限はあるわけないのだが…


授業を少しお暇(いとま)してきた。日本のある地域ではこれをサボリと言うらしい。方言て不思議ですね。


学校の近くのこの店の中で、K、L、そしてMの3人は1つのテーブルを囲っていた。震えながら泣きじゃくっていたMを保護するため、そんな大義名分でこの店にいた。


既に食べ終わったKとLは食後の煙を嗜んでいた。相変わらずMは弁当に手を付けず下を向きながら、時折思い出したように泣いていた。


自発的に、そんな思いで待っていたKとLだが、先にシビレを切らしたのはKだった。


「で、お前どうすんだ?」


「み・・・みんなに謝る・・・」


「んなこたいいんだよ!お前はどうすんだってんの!」


鼻をすすりながら答えたMの言葉を遮るようにKは問い詰めた。無理だと悟ったLはコーラを一気飲みし勢いをつけてからMに問いかけた。


「何があったんだ?何かされたんだろ?」


何てことはない内容だった。だったが、それは本人にとっては、Mにとっては何てことはないでは済まなくなっていた。


『バレンタインデーだから髪型をバッチリセットしてきたんだろう』そう茶化されたらしい。それは間違いではないし、図星だったのだろうが、元々Mは所謂いじられキャラだった。だったが、それはあくまでも周りの決めつけなだけで、M自身は嫌だったわけだ。それがそもそもの始まりだった。


Mとしてみれば、耐えに耐えてきた我慢の限界だったようだ。そんな爆発で自分でも訳が分からなくなっての行動らしい。もっと言えば、近寄って欲しくないという意志が先行してのカッターだったらしい。本当かどうかは分からないが、少なくても自分自身を刺そうとしていたのは本気なように感じていた。

 

「はい、これサービス。あんまり泣かさないようにな」


「すいません!ありがとうございます!」


何かを悟ったのか店長がアイスコーヒーを奢ってくれた。ストローでアイスコーヒーをひと口飲んだKは、先程とは違って諭すように問いかけだした。


「で、お前はどうすんだ?」


「何かをしたかったからやったんじゃないのか?」


顔をあげたMにさらにKは続ける。

 

「それでお前はどうしたいんだ?言ってみろよ。言わないとわかんねーだろ。な?」


パチッ


そんな音が聞こえた気がした。何かが、何かのスイッチが入ったようにMはありったけの感情を爆発させた。

 

 

「あぁーーーーー‼俺だって!俺だって!なのにいつも…ハァ…ハァ…俺だって!何でバカにされなきゃ…ハァ…ハァ…ならないんだよ!俺だって!ハァ…ハァ…うぁああーーーーー‼」


支離滅裂のような叫びだが、一貫して俺だってを連呼しだした。より一層泣き散らかし出したMについにKがキレた。

 


「だからどうすんだゴルァ!言えや!それでお前はどうしたいんだよ!それでお前はどうしたいんだ?あぁ?」


うつむくMの胸ぐらをバカ力で引き寄せぶん殴る勢いで責め立てた。俺の問いに答えよ。そんな王様からの命令だった。


「ちょちょやめとけよ。Mもさ、意味分かるだろ?な?」


Lは胸ぐらの手を外そうとしたがKの手は外れるどころかさらにMを引き寄せ持ち上げる勢いだった。ビビるMに容赦なくKは怒鳴り散らした。

 

「何なんだおめぇーはよ!答えろや!それでお前はどうしたいんだよ!あぁ⁉」


きっとMは気づいていた。いや、言いたかったんだと思う。でも言えなかった。言う勇気が無かった。その背中を押すどころか問答無用で蹴り飛ばしたのがKだった。だからMは何かを吹っ切るようにKの胸ぐらを掴み返し大声で叫んだんだ。

 

変わりてーよ!俺…変わりたいんだよ…


瞬時にMは泣き崩れた。自分の思いをKにぶつけて緊張の糸が切れたのか、ぐしゃぐしゃに泣いていた。


「なら変わればいいだろ。そうやって最初から言えば良かったんだよ。言わなきゃ何も伝わんねーんだよ」


Mはしばらく泣いていた。

 

 

卒業する時にはMはすっかりいじられキャラから変貌した。とまでは言えなかったけど、受け入れれたんだと思う。思うけど、危なっかしいなとは思っていた。またカッターを…そんなことしそうな雰囲気があった。


そんなMが今このコロナ禍の中、ある分野で成功しているらしい。そんな話を聞いた。何か嬉しいよりもほっとした。ほっとしたけど、やっぱ嬉しい。そんなことを思った。


というある人のある人達の感想の話。きっとその人はその人達は会いたいだろうな。そんなことを思ったって話。


何かを変えるって容易なことではないけど、変わりたいと思うことは、変えようと思うことは、そう意識を変えることは、きっと難しくはないはずだよね。


その意識を保つのが難しいことではあるけど。


きっかけを作るというのは凄く大事なことだと思うし。その結果、変えれることもあるわけだし。決してよくある成功者の話のような特別な話ではないと思う。よくあるかどうかだけど、ある日に憧れていた、憧れを抱いた、そんなちょっと夢見た人の話。ちょっと近い未来に憧れを持った人の話。そんなんだと思う。そう思うんだけどね。


けど、やっぱ容易ではないんだろうな。何にしても保つというか続けるというかそういう継続させることが一番大事だし、大変だし、凄いことなんだろうな~なんて思った。改めて本当に思った。だからさ

 

ブログを続けるのも大変なのよっていう

 

そんな言い訳の話
(台無しです)


あなたの未来は、あの日憧れていた未来はどうなりました?


僕は・・・

 

このザマですわ 笑


ですね。

カイト


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