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思った事を書くノート。そんなブログ。

まちがいさらし

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君の目が貫いた僕の胸を真っ直ぐ
その日から何もかも変わり果てた気がした

 

あの日僕は成田空港に居た。


「おはようございます」


「はじめまして」


当たり前の挨拶を交わした。知っている顔と知らない顔に。時刻は8時だった。と記憶している。щ(゚д゚щ)え?


当時僕はタバコを吸っていた。昭和のビックスターのキザな挨拶のように、じゃんけんのチョキの状態から人差し指と中指をくっつけ、相手に見えるように額の高さまでそのままあげる。タバコ吸いますのサイン。


そんなどこからか飛んできた吹き矢を挟んで防いだようなジェスチャーをし、外にある喫煙所に向かう。


これから7~8時間のフライト。当然タバコは吸えない。考えただけで全員ぶん殴りそうだった。無駄だと分かっているが吸いだめと自分に言い聞かせ煙につつまれていた。そんな思いの人間ばかりなのか、喫煙所は正に今でいう密な状態だった。


「Sさんそろそろ」


今日初めて会った顔が呼びに来た。1週間程度の海外出張。この日は移動日。現地に着いても現地スタッフと合流して食事会。そんな余裕な日。


行き先は東南アジアの某国。平均気温が28℃を超える所謂熱帯気候。雨季と乾季がある厄介な場所に観光なんてなお気軽モードではなく仕事に行くわけだ。マジだりぃ。


当然行くなら乾季。ただでさえ暑いのに不快な湿度なんてくらってられないわけだ。ということで日本でいう3月となった。マジ高低差有り過ぎて耳キー(略


困るのは服装。着込み過ぎると現地で死ぬし、薄着では行く前に死ぬ。どっちみち死ぬなら全員ぶん殴ろうか。そんな正に損な考えしか浮かばなくなる。


基本ぶん殴りたい感情がチラつくくらい当時はギラついていた。もし当時の僕に会うことが出来たらきっと男性ホルモンってあだ名をつけたと思う。きっとその直後にぶん殴られてるけど。こえーこえー


「行きましょう」


同行者の合図で保安検査場へ。注意書きを読む。上着はカゴへ。タンクトップ姿な僕。殺す気かこの野郎。現地を考え僕はタンクトップの上にカーディガンを羽織っていた。カモフラージュを奪われ無駄に辱められた僕。ちょっとだけテロリストの気持ちが分かった。上着着用OKがテロ対策になると思う。メモしとけよ官房長官←


搭乗するまではフリータイム。喫煙者あるあるは免税店でタバコをカートン買い。行き場所によってはタバコの持ち込み量も規制があるのでご用心てな豆知識。もう吸わないから今はどうでも良いけど。


そんなこんなで搭乗。席はたまたまプレミアムエコノミー。エコノミーに毛が生えた感じ。とは言えフッサフサなわけではない。ちょっと広いよってな感じ。でも長時間のフライトにはありがたい。


行きはたまたま席が空いてなくってていう奇跡だったが、心地いいので帰りは自費でアップグレードした。いやマジ快適だから。


今回の出張者は僕を合わせ計5名。席は全員通路側。縦に5名綺麗に並んで座る。ビジネスあるあるかもしれない。隣とか座るくらいなら知らない人の方が僕はマシだと思う。あくまでも仕事であれば。女性社員の場合は別だけどね。


ちなみに女性社員と出張したことはない。あっても近距離の立ったまま乗車バージョンだ。一応言っとくが下ネタではない。座っているのに全員総立ちとかそんなニュアンスじゃない。覚えておけ。


離陸。どこまで斜めなの?国際線は毎回そう思う。ベルトサインが消えリラックス。早速酒を頼む奴も。僕は映画でもと思い目の前のモニターを見ていたが既にタバコの禁断症状が。イライラは初期段階。それを越えると眠気が来る。きっと体的にイライラからの逃避ではないのかとか考えてしまう。


実際のところタバコは興奮剤らしい。だから吸う事で眠気がおさまるし、お腹も空かない。吸えないとその逆となる。この時は流石に空腹はなかったが眠気が完全に僕を支配していた。


結局ほぼ寝ていた。同行者の話では瞬殺だったらしい。あとから知った客室乗務員美人の話題についていけなかった。クソがっ。


現地到着。時差はマイナス1~2時間だった気がする。じとーとする。これが正しい表現。海外行って何が嫌かって着いてから長いってこと。各手続でウロウロ長蛇の列になってること。プラス今回は暑い。温度差に既にやられている。今なら大恥かいたタンクトップが神アイテムとなる。


とは言え、未だタバコを吸えていない。その上僕は寝起きがえげつねーほど悪い。高校の時、部活の泊の遠征中は僕だけマネージャー(女子)が起こしに来た。女子には怒らないという理由で。


正直この時の僕は自分でも分かるぐらい無期限で不機嫌だった。メンチする気力もないが瞼が重く結果メンチビーム発射中だった。パスポートチェック時に僕のあだ名がスマイルなのかと思うくらい連呼された。スマ~イル?スマ~イル?オープンユアアイズ?うるせーし。


あとは預けた荷物だけ。出口はもうすぐそこ。そんな時だった。

 

「コンニチーハ!◯※▼%□・・・・」


荷物を持って歩き出した僕に現地の胡散臭いおっちゃんが話しかけてきた。何故か僕だけに。クソがっ。


最初のカタコトではあるが日本語で話しかけてきたことからも僕を日本人と認識している。その上で話しかけてきているということは確実に金になるとでも思っているはずだ。何を言っているか分からないが猛烈に早口で僕の荷物を触りながら話しかけてくる。マジキメーから。


たぶん荷物預かりますとか運びますとかそんなサービスだろう。だろうが僕は必要ない。小声で聞こえづらかったのかもしれないが「No」と意志も伝えていた。にもかかわらず話をやめない現地のおっちゃんことワリオ。黄色い帽子被ってないだけでそっくりだったワリオに。性格もだなきっと。

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出典:Fandom(マリオペディア)


同行者は気づいていたはずだ。このままでは確実に僕は爆発するということを。だからなのか妙に早歩きになっていた。ちょっ待てよ!


暑さと眠気と喫煙欲とワリオ。僕の怒りスイッチを押しやがった。

 

「うっせーなゴルァ!埋めるぞ!」


とりあえず日本語で。これで僕の中の怒りが半分以下にまで消化できる。ワリオとしても何を言っているのか分からないにも僕が怒っていることが気づいたはずだ。


だが、これでは許さない。確実に仕留めてこそだ。この僕を怒らせたらどうなるか分からせてやる。お前のまちがいを今ここで思い知らせてやる。ここに居る全員にさらしてやる。まちがいをおかしたと。

 

 

「アイアム ジャパニーズ マフィア」


絶句するワリオ。そうだその顔だ。大好物だ。いくらなんでも分かるだろこの意味が。少なくてもアウトレイジ知ってるだろ。ダンカンバカ野郎!


さぁ~最後だ。トドメだ。再度伝えてダメ押しで確認したら終わりだ。分かったか!そう伝えれば大概謝る。謝ってくる。僕の中の海外攻略法だ。ワリオ所詮お前はサブキャラなんだよ。

 

「ヘイ!」

 

「アイアム ジャパニーズ マフィア!」

 

 

「リアリィ!!」
(えっ?)

 

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えぇえええええ~‼


何だよリアリィって聞いてどうすんだよ!何でアンダスタンドって言えねんだよ!単にOK?でも良かったじゃねーかよ!これじゃキチガイじゃねーかよ!「オイ!俺は日本のヤ〇ザだ!ほんとに⁉」って情緒不安定じゃねーかよ!精神崩壊してんじゃねーかよ!なんだよワリオ!どんな顔してんだよ!何だよ空港ってこんなに無音だったっけ?もう何だよ何だよもぉおおおおおお

何故だろうか 涙がでること

君の目が貫いた僕の胸を真っ直ぐ
その日から何もかも変わり果てた気がした


ぐはっ


「行きましょう」


そこに現地スタッフが居た。笑顔で僕の荷物を持とうとしている。自然と握手する僕がいた。

君の手が触れていた 指を重ね合わせ
間違いか正解かだなんてどうでもよかった
瞬く間に落っこちた 淡い靄の中で
君じゃなきゃいけないと ただ強く思うだけ


そうどうでもいい。まちがいなんてどうでもいい。ありがとう現地スタッフ。さぁ行こう食事会だ。さぁ行こう!

 

 


テメェ何全員にバラしてんだクソスタッフ!


僕は今タバコを止めている。そのきっかけがコレだというわけではない。


まちがいさらしの正解の方じゃ、きっとブログは書けなかったと思う。


いや書けたか・・・


ですね。