ですね。note

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嘘みたいな本当の話

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某日。


はっとして目を覚ました。何故なのかわからないが唐突にだ。


部屋の電気が点けっぱなしなのに気づく。またか。どうやらやらかしてしまったんだなと認識したと同時に、どこに行ったのかを思い出そうとしていた。


あそこに行ってから確かあそこに。記憶が正しければ3軒はしごをした。はずだ。


しょうがないと自分に言い聞かせるように起き上がろうとした。


その時だった・・・

 


誰かいる!?


ベットから起き上がろうとした際に視界の左に人影を感じた。いや正確には人影なんてな曖昧なものではなく人そのものだ。


と同時に自分が裸なのに気づく。全裸。は?いや嘘だろ?


ゆっくりベットから起き上がりそのまま前に進む。振り返らない。いや、振り返ってはいけないそんな気がした。


ベットから離れ寝室の扉の位置から意を決して振り返る。嘘だろ・・・。


セミダブルのベットの上にうつぶせの裸体が見えた。丁度自分が寝ていた隣の位置にだ。誰?


とにかく落ち着かなければならない。そう呪文のように小声で唱えながらリビングの冷蔵庫を開けた。


がぶ飲み。水をがぶ飲み。ペットボトルの無機質な音が鳴り響く。


落ち着いたと感じると同時に誰なんだと疑問が沸き起こる。どこで?何故?誰なんだ?つか生きてるよな?


寝室に戻る。間違いなくそこに人が裸で寝ている。ビーチフラッグスのスタートのような姿勢で人がそこに居た。小さい寝息が聞こえる。命はある。良かった。


何があったのかは理解できる。子供じゃあるまいし、とぼけるつもりなどない。


掛け布団が床に丁寧に置かれ、シーツが乱れている。うっすら汗をかいた跡がある自分が居る。誤魔化す気などない。ないが問題という謎が1つ残る。

 

誰と。僕は。


リビングに戻る。2本目のペットボトルを飲む。髪型は所謂ショートボブ。身長は160くらい。背中の肩甲骨やおしりの感じからして女性のはずだ。ベットのマットが低反発の為、横から胸の膨らみは確認できない。


何故か性別の確認をする自分がいた。今さら何を。テンパるとはこういうことなのだろう。確認する為なのか願いがあるのか、寝室とリビングを無駄に行き来しながら相手を探る。思い出せない。いやそもそも見当がつかない。


リビングに相手のものと思われるバックがあるのに気づく。が、開けて中を見る気などない。何か身分証明的なものがあるかもしれないが、それを見てそうかと思える気が全くしないからだ。そうなんだ。間違いなく『知らない人』なのだ。


やっと少し落ち着いたのか、初めて時刻を確認する。3時32分。知ったところで意味はない。出勤までの時間を逆算している自分が居た。サラリーマンなんだなと少し笑ってしまった。


笑えるほどの余裕ができたのか疑問だが、シャワーを浴びる準備を始めていた。どうにもこうにも仕方がないからだ。


起こして聞くなどする気もない。起きるのを待つしかない。ならそれまでにシャワーを浴びよう。たぶんこんな思考だったはずだ。


戒めるわけではないが、冷水のシャワーを少し長めに浴びた。冷え切った体に今度は暖かいシャワーを浴びせ、“いつもの”入浴という作業を開始した。自然と鼻歌が出た。決して鼻水のことではない。


スッキリしたんだと思う。無駄に笑みがこぼれた。この状況でだ。我ながら大したもんだ。髪を軽く乾かし、そのままリビングへ向かう。今さら服など着る気にはならない。


2本目の残りを飲みながら寝室に向かおうとしたが、すぐに気がついた。バックがない。相手のバックがないのだ。


犯人に逃げられた刑事のように寝室に勢いよく入る。そこにあるべき風景はない。既にビーチフラッグスのスタートが終わっていたわけだ。たった一人のロンリーレース。とか言ってる場合ではない。


玄関に向かう。そう言えば靴など確認してなかった。普段と変わらない靴の置かれた玄関。唯一違うのは、施錠がされていないドアだけだ。


出ていった?そう考えるのが妥当である。


何故急に。逃げた?のか。本人もこの状況に驚いたのかもしれない。知らないベットに裸で寝ていた。そう感じていたなら恐怖だったはずだ。え?いや待てよ。知らないとか思われたら無理やりとか思われたのか?


相手も記憶も自覚もないのかもしれない。そうなるとたちが悪い。自宅を知られている分リスクはでかい。嘘だろ。


もう何回脳内で発せられたかはわからない嘘だろのワード。今年の脳内流行語大賞間違いなしだ。いや嬉しくはない。


状況を整理しなければならない。


僕側からしたら、どこかの店で意気投合したであろう限りなく女性と思われる相手と裸で寝ていたという事実と。


その事実から大人の関係と呼ばれる行為が行われたであろうという推測。それを裏付けるゴミ箱の中の痕跡。限りなくクロなわけだ。


では相手側はどうなのだろう。


どういうきっかけか分からないが裸で知らない家のベットに寝ていた事実と。その事実から推測できる行為。痕跡。


その行為の相手と思われる人物が今なにやらご機嫌でシャワーを浴びているという真実。どんだけの恐怖なんだアウトじゃないか。


逃げるなら今だという思いだったのだろうか。アウトじゃないか。


一体どうしたらいいのかわからない。犯罪をしたつもりなどないが、犯罪として処理される可能性があるのだろうか。


相手はどう思っているのかそれが非常に重要になってくる。答え合せが必要になってくるわけだ。真実を知る必要があるわけだ。が、どうしたらいいのか分からない。


もう何かのルーティン化しているのか3本目を口にした。


全裸でペットボトルの水を飲む男。異常者だ。今この瞬間出て行ったであろう謎の女性が警察を引き連れてきたならば、完全にこいつイカレポンチだと認定されて全裸のままお縄頂戴なわけだ。全然嬉しくない。


念の為と自分に言い聞かすように声に出しながら服を着た。


分かって頂けると思うが、かいつまんで服を着たと書いただけでちゃんと下着のパンツもパンツと呼べるズボンも実際はスウエットも履いている。


上の服だけ着て、下が素っ裸な状態なわけではない。だったら全裸よりたちが悪い。それこそそんな姿を見られたら、自宅に居るだけなのに「何してる!」とか無駄に声を掛けられお縄頂戴になってしまうわけだ。全く嬉しくなんかない。アウトだ。


どれだけの水を摂取したのかわからないが、のどが常に乾く。指名手配者の心理状態はこうなのだろうか。


いや、そんなことなど知りたくもない。僕は犯罪何かしていない。きっと何かの間違いで、いや間違いとかいうとアレだ。恐らくそれなりの承諾の下の突発的な関係なわけで、無理やりなどということではないはずだ。


お互いがあるレベルの納得での行為のはずだ。であって欲しい。部屋の乱れを見ても争った形跡がないのがその証拠だ。そもそも自宅に招き入れる時点で、無理やりなわけはない。はずだ。といいな。アウトなのかな。


どうしたらいいのか分からない。時刻は4時30分を越えていた。目を覚ましてから1時間経過したいうことだ。こんなことなら目など覚ますんじゃなかった。本気でそう思っていた。うかつに目を覚ましたばっかりに、悩んだり、水飲んだり、また悩んだり、シャワー浴びたり、水飲んだり、悩んだり、弱気になったりと大忙しだ馬鹿野郎。


なんだかもう色々盛沢山過ぎて疲れてきた。細かい内容を省けばスーパー早起きでシャワーを浴びた人なわけだ。都合の良い省き方だがそういうことだ。どんだけ出勤待ち遠しんだ的なハッスルサラリーマンなわけだ。


とにかく腹が減ってはである。食事の準備を始めた。卵かけご飯でも食べようかそう考えていた。時だ。


ふと、そうふと気になった事を思い出し、玄関に向かった。


僕にはあるクセがあった。ドアの施錠をする際、ドアノブを上にあげるのだ。数センチ。某漫画の受け入れだ。施錠が解かれたということはドアノブが通常の位置にあるはずなのだが、一瞬とはいえそう見なかったのだ。


間違いない。上にあがったままだ。おかしいとは思っていた。だが、その意味が理解できなかった。理解できるわけはなかった。何の意味があるのかその行動に。

 

隠れて居残る意味が。


そう確実に今、この僕の自宅と呼べる空間にその謎の人物は居る。その事実を感じたせいで卵かけご飯の味など分からなかった。


可能性があるならあそこしかない。隠れ場所と思われる箇所は目星がついていた。しかし何故だ。何故居座るのだ。


時間だけが過ぎていく。時刻はすでに5時30分を過ぎた。2時間経過というわけだ。


いつどのタイミングでそこから出てくるつもりなのか、出てきて何をするつもりなのか、考えても浮かびもしない正に奇行である。


待つのか。それとも・・・。

 

 

 

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とか起きたらどうすんのかなと本当に考えたって話。


嘘みたいだが本当なんだ。


本当なんだろうけど色々アウトだ。


ですね。