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思った事を書くノート。そんなブログ。

いつもの風景

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少し前、高校生と話をした。


彼は3年生。部活はサッカー。卒業後は就職希望。そんな簡単な自己紹介を経て僕らは話をした。


僕もサッカーをしていたこと。ポジションがどこなのかどこだったのか。今の僕が勤めている会社の良いところ。個人的にダメだと思うところ。高校の良いところ悪いところなどなど。


とある高校の就職のための説明会のようなセミナーのようなそんな会。企業も3桁集まって高校生にプレゼンみたいなそんな会。


高校生は興味があるところに時間交代で数名ずつ話を聞くって感じ。もちろん、強制で全部の企業に生徒達が行きわたるように調整してのことだけど。


僕はたまたま暇をしていたというわけではないけど、まぁ~色々あって行ってきますわってアレ。よく分からないだろうけど、言う気がないというかそういうアレ。つまりまとめるとアレってこと。察して欲しい。オブリガード(急に?


ありがたいことに色んな高校生と話ができた。やりがいのある仕事がしたいと目を輝かせている男子高生。将来やりたいことが決まらない不安いっぱいな女子高生。タバコは絶対吸わないと思うけど、お酒は絶対飲んで楽しみたいという少しやんちゃな男子高生。まったく想像つかない外見だけどハードロック好きなバンドマンを目指す男子高生。


そんな中でこのサッカー部の男子高生との話が印象に残っている。


本来こんな話をするような場ではないのだけど、彼の人柄もあって中々深めに入り込んだ話をした。今じゃ採用面接ですら聞けない家族構成の質問もその1つと言える。


「兄弟は居ません。一人っ子なんで。」


咄嗟にごめんと言葉が出てしまった。彼は笑って気にしないと言ってくれた。聞くのもそうだが、謝ること自体が問題なわけだ。配慮に欠けた僕への配慮。どちらが大人か分からない。そんな感じだった。


彼は続けて母子家庭なんだと明かしてくれた。だから働きたいのだと笑顔で続けながら。母親が毎日疲れている姿を、ありがたさを、彼は子としてしっかり受け止めているのだなとそう感じだ。


「初任給って親に何か買ったんですか?」


突然の質問だった。確かに買った。母親に買ったのを思い出した。間違いなくその行為には感謝という気持ちがこめられていた。確かに。


「そうだな~ストールじゃなかったかな。何色だったか忘れたけど」


本当は覚えていた。母親の好きな色を買った。店員の女性に素敵なプレゼントねと言われてクソ恥かしかったことまで全て覚えている。覚えていたみたいだ。不思議なくらいに。僕にもそんな感情があった。あったんだな。


「欲しいモノ無いって言うんですよ」


彼は初任給で買うこと前提で既にリサーチしているようだ。だが、何を買ったら良いのか悩んでいるというクソカワイイ悩みを僕にぶつけてきた。就職活動というテーマを度外視して僕らは話し込んでいた。時間いっぱい使って。


「何でも喜ぶと思う」ありきたりだけど僕はそう伝えた。間違っていないという自信もあった。きっと彼が選んだものなら何であれ感謝という思いが感じれるはずだろうからだ。伝わるに決まってるからだ。絶対にだ。

 

「絶対俺初任給で買いますよ」


その言葉で彼との時間は終了した。「いいとこに就職できるといいな」と言った僕に、彼は今日一の笑顔をくれた。


この出来事で僕の中の『イマドキの若者は』がアップデートされた。もちろん良い方に。少し前にテレビで初任給で親にLINEのスタンプをあげると言っていた新社会人を観て、えげつねーランクまで下がった僕の中の『イマドキの若者は』のイメージは、見事改変されたわけだ。


そんな出来事のせいで、僕は昔を思い出していた。いや、思い出してしまった。

 

 

中学時代。反抗期全開のクソ生意気な僕は、部活の疲れも相まってか母親との口論が絶えなかった。


そんなある日、理由は今でも思い出せないのだけど、床に寝転がっていた僕は突然母親から首を絞められた。僕はくすぐったいので笑っていた。


「やめろや!放せってんの!もう~」


笑いながらも僕は抵抗していた。母親は止めなかった。今思えばきっとマジだったと思う。本気で思っていたのかもしれない。ただ、僕は笑っていた。結構長かったと思うが母親はふいに手を放した。


奇しくも首を絞められた時、笑うといいらしい。軌道が広がって回避できると後でテレビで知った時、怖いくらい驚いたことを覚えている。ちなみに、後で母親に当時のことを聞いたら覚えてないとか言われた。本当かどうかは分からないのだが。


この出来事からも僕は母親に苦労をかけていたわけだ。間違いなくだ。せめてもの親孝行にと、もめにもめたが最終的に国立の高校に行った。


将来の就職のためにという僕のためという名目でだ。授業料は奨学金でなんとかなった。ただし、返済するのは僕なのだが。まっ繰り上げで返したけどな!

 

そんな話はどうでも良くて


とにかく、そんな僕でも初任給でプレゼントを買ったわけだ。感謝を込めて。


そんなことを忘れて生きていた僕は、仕事が・・・という言い訳で母の日のプレゼントをしていない。それどころかしばらく連絡もしていなかった。そんな自分が恥ずかしくなった。情けなかった。


あの高校生から、大事な何かを思い出させてもらった。僕にもあったんだ。彼のように親を思う瞬間が。彼とその母親のような関係が。家族の風景が。

 

 

母親に電話をすることにした。


母の日の後ろめたさも有り、すんなり行動に出れた。


「今度帰るわ。ああ、休みは取れそうだし」


予想外だったのだろう。或いは何かを考えているのか、母親は無言だった。


「何か買って行くわ。欲しいものあるなら言ってくれれば」

 

『いや~お金かかるから無理しなくていいよ』


良くある遠慮という風景。正に家族の風景。そのものだった。


そう思っていた。

 

 

 

 

 

『帰って来なくていいから、その分のお金ちょうだい』
(子より現金!!)


子も変われば親も変わる。防止のためにも、変わる前に頻繁に親と会うことをおすすめします。


残念ながら手遅れな我が親子には、これがいつもの風景になるのかもしれない。


ですね。

家族の風景

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