ですね。note

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思いやりの反対側(追記あり)

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——何故そこに居たんですか?


毎朝の日課ってやつです。ジョギングと言って良いかってくらい歩きに近いですが。この歳にもなって趣味もないのかと娘に呆れられましてね。


——ではたまたま?偶然ということですか?


えっ?あ~そうですね~。偶然も偶然です。そもそもどちらも見かけたことがなかったですし。いやあるのかな?実際、周りなんか気にしてないわけですからね・・・

 

 


私は田間珠緒。今年で67歳になる。文字から勝手な連想をされるようで、会うと必ず男かと驚かれる。どうも漢字から女性と間違われることが多い人生だ。


男と分かると「たまたま」ですよと名前ダジャレを言われる。恐らく1億回言われてるのではと思っている。最近は2億回言われるまではと思う反面、やはり生きていけないなと考えることが多くなった。


珠緒で良いだろ。親父の一存らしい。生前意味を聞いたが「たまたまだ」と嘘みたいに答えてきた。どっちの意味なのか未だに分からない。ダジャレだと言いたかったのか、そうじゃないのか。


そんな親父の名前は剛。当然あだ名は『たまご(う)』だ。きっと親父の悪ふざけだ。いや、捻じれた仕返しかもしれない。

 

——えっ?誰と?えっ?何話してんですか?大丈夫っすか?で、もう一度聞きますけど本当に見たんですよね?

 

私は今、取り調べと言って過言ではないくらい聞かれていた。あの日、この場所に、この時間に居たばっかりに・・・

 

 

あの日も日課のジョギング中でした。交差点の角のコンビニで休憩がてらジュースを買うのも日課でした。


コンビニの前でジュースを飲みながら休憩をする。いつも通りでしたがその日だけは違ったんです。おつりをもらうの忘れて店員さんに呼び戻されたんで覚えているんですよ。わりとはっきりと。その日だけはね。


おつりをもらって再び外に出た時でした。コンビニ前の道路が所謂青で、横の道路が赤でしたね。あぁ、信号です。信号の色です。勝負下着はうちのが選んでくれるグンゼの白です。あっ、えっと聞いてない?すみせんテンパっちゃって。


前の道路をそれはそれは大きなトレーラーが通りましたんでね。それに対して横の道路で信号待ちをしてるのは小さな軽自動車かと、思わず笑ってジュースこぼしたもんでね。覚えてるんですよ。


あぁ、大丈夫ですよ。ちょっとだけジャージに付いただけですんで。ただ場所がその~はい。ご想像の通りです。一見我慢のお汁が・・・あっ、はいすみません。


その時でしたね。来られたのは。えぇ、何か凄くキレイだなって印象でしたんで覚えてますよ。車種まではすみません私は疎いので名前は分かりませんが見れば分かりますよ何度でも。はい。


わりとすぐだったと思います。車を降りて来られたのは。はい。間違いなく見ました。服装はアレですけど、同一人物だと分かります。遠目でしたけど髪型とか雰囲気とかオーラとか。


はい。間違いないです。間違えるわけないですよ。あんな動ける人他に居ないですし、何よりも遠くからでも分かりますものイケメンだって。はい。


機敏でしたね。いや~気づかなかったですよ私は。そうなんだって見てから気づきましたよ給油口開いてたなんてね。閉めてからも素早かったですし。すぐ運転席側に向かってましたもんね。


当然ですよね。知らせますよ普通。だってそれ教えてもらわなかったら、後ろの車のトチ狂った奴がいきなり自分の車の後ろの横ぶん殴って戻っていったって感じですからね。サイコですよ。サイコ。クレイジー野郎ですよ。私なら通報してますよ。


あっすいません興奮しちゃって。えっとどこまで・・・あ~そうでした運転席ですね。どこかの誰かさんは助手席なんて書いてましたけどね。あとで間違えたとメールきましたけど。私は見ました間違いなく運転席です。はい。


うーん何やら戸惑ってるのかな~ってな印象でしたかね。コチラ側からですとちょうど反対側になるんで良く見えないんですよ。


ただ、かがんで話してるのは分かりましたね。頭が見えたり見えなかったりでしたんで。運転席にいるのが女性だったらなんてね。あっと年甲斐もなく卑猥な事想像しちゃってすみません。最近ご無沙汰なもんで。あっ要らない?はいすみません。


いや、実際何が起きたのかはちょっと。いや本当です。だって軽自動車が動いたと思ったらそこに・・・

 

——じゃあ軽自動車のナンバーとかは覚えていないんですね?


はい。すみません。覚えてないと言うよりも見てないです。はい。


——そうっすか~。いやすんません。もし何か思い出したらお願いします。

 


絶対言えない。言えるわけがない。あの人絶対仕返しする気だし言えるわけはない。


そもそも未だに探そうとしてるのが怖い。怖い人としか思えない。


あのSって人に言ってはいけない。いや、今さらもう言えるわけがない。何故嘘をついたと攻め立てられるはずだ。こっちが危ない。言ったら2億回は絶対ないなと私の遺伝子がざわついた。


そして何より、Sって人を犯罪者にするわけにはいかない。


それが私の思いやりってもん・・・


ですね。

 


『第2のRira』①

 

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本人参戦(笑)


ですね。
※Rira